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VITO III の愉快な操作

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今日は1950年製蛇腹カメラ VITO III の操作を書きます

前蓋を開けてレンズを引き出す必要がありますが
蓋には指かけがありません

底面のプレート右にあるボッチを押すと蓋が開きます
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ボッチを押すと丸い距離計窓の下の爪が左にずれて
前蓋が外れる仕組みです

フィルムを入れますがそれはごく普通の操作で済みます
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日本のカメラと違って遮光スポンジは使ってないので
経年加水分解によるトラブルはありません

フィルムを入れてから 古いカメラは
自分でフィルムカウンターをリセットします

たとえばライカは巻き上げ軸の外周にあるリングのボッチを押さえて回し
数値を初期化するわけです
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VITO の場合は巻き上げ軸の下に数値を刻んだリングが見えます
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ところがライカのようなリングを回すボッチがありません
手でこすっても到底動くものではありませんでした

押してもダメなら引いてみな 巻き上げ軸を上に引っ張り上げました
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カウンターリングの上側にギザギザが刻んであるので
ここに指をかけてリングを回し
数値をリセットしてやるのでした

ファインダーをのぞきながら二重像合致でピントを合わせますが
ふつうはピント調節のリングやレバーはレンズの周囲にあります

フォクトレンダーのカメラはそうはいきません
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画面右上のリングは普通はフィルム巻き戻しですね
しかしこのカメラはこのリングがピント合わせなんです

それを回すと
レンズ下部の前蓋裏の左右にあるレールをたどって
レンズが前後してピントを合わせるのです

むかし学級写真などを撮ってもらった蛇腹暗箱のような塩梅で
カメラのいかにも原始的な動きを見ると感動します
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距離計指標はふつうレンズ周りにあるものですが
これは距離リングの下にあり こんなのは初めて見ました
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レンズの周囲にシャッター機構があります(通称レンズシャッター)

まずシャッタースピードリングを回して速度を決めます(三角マークに合わせる)

次にシャッターが切れるようにレバーでチャージしますが
レバーが上の写真の位置にあるものを右回りに回転させて下の写真の位置にします
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500分の1秒以外の速度の場合は先にチャージしてもかまいませんが
500分の1秒にかぎり速度のセットをしてからチャージしないといけません

絞りはシャッターチャージレバーのさらに本体側にあるリングで合わせます

最後にフィルム巻き上げリングを回転させてシャッターボタンを押します

シャッターが切れるとシャッターチャージレバーは元の位置に戻ります

フィルムを撮り終えると巻き戻しですが
この機種は巻き戻し軸がピント調節リングになっていました

しかしそのリングをよく見ると下のようになっていて
気になる「←」とボッチがあります
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そこでボッチを矢印の方向にずらすとレバーが立ち上がりました
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この半円形レバーが巻き戻しハンドルなのでした

最後はレンズの下部の格納レバーを抑えながら
蓋を閉めると折り畳みができます

いやはやどこをとっても面白い機構が満載です

搭載レンズは戦後すぐの銘玉 Ultron 50mm F2 で
ボケ味の滑らかさはこれまで使ったレンズのうちでも最上級のものでした

ただし先行ユーザーの誰かが シャッターチャージをしてから
速度を500分の1秒にセットするというタブーを犯したので
シャッターが不調です

まあコンパー・ラピッドという古典中の古典シャッターで
修理業者に頼めばちゃんと治りますからオーバーホールしてもらいます

相場の半値以下で落札したので
オーバーホールは織り込み済みです
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by zuoteng_jin | 2017-05-28 16:52 | NEX-7 | Comments(3)
Commented by doraneko at 2018-11-02 00:18 x
こんにちは、初めまして。ビトーIIIについて検索し、こちらまでやってまいりました。ぶしつけですが、この機種の操作について、教えて頂きたいことがございます。
私も、ビトーIIIをこの9月に入手し、二度ほどフィルムを通したのですが、先日久しぶりにさわっていたところ、巻き上げノブが動かないことに気づきました。確かシャッターを切った後、巻き上げてまたチャージ、という手順であったと思うのですが、レリーズ後にノブが動かないのです。
いろいろ試してみて、ファインダー覗き窓と巻き上げノブの間の小さなボタンを押しながらだと、巻き戻せることに気が付きました。
それで撮影はできるから、いいかとも思うのですが、やはり一連の動作がスムーズではなく・・・。どこか故障したのであれば、少し気持ち悪さが残ります。オーバーホール後の機体をお持ちのzuoteng_jin様に、操作手順についてご教示をお願いいたしたい次第です。
お手数ですが・・・どうぞよろしくお願いします。
Commented by zuoteng_jin at 2018-11-02 10:13
doraneko様、VITO III お使いなのですね。コメントを拝見する限り、操作は良いと思いますが、素人判断では、巻き上げ機構のギアが緩んで、かみ合わせがずれたように思います。機体背面のアイピースと巻き上げギアの間のボタンは、フィルムのコマ送り止めをフリーにするモノらしいですが(その後の機材にはついていませんね、二重撮り用かも知れませんがよく分かりません)、それを押してたまたまかみ合うようになったようです。いずれにしても、無理をしてギアを壊す恐れがありますので、一度オーバーホールなさることを推奨いたします。ウルトロンレンズはよく写りますから、私も大切に使いたいです。
Commented by doraneko at 2018-11-02 23:06 x
zuoteng_jin様
早いご回答、ありがとうございます。そうですか、やはり私の機体は、今通常の操作ではないのですね。ウルトロンの美しい写りが好きで、これから使い込もうと思っております。OHしてみようと思います。(私も相場の半額ほどで手に入れました・・・。)
ご更新、楽しみにしています。ありがとうございました。
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