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春モードと春の憂鬱な仕事

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そろそろ春モードの商品展開ですね

大学の教員にとって春は憂鬱な季節です

というのも15年ほど前からシラバス(英語Syllabus)という
ひとコマごとの詳細な授業計画を書かされます

昔は授業概要が1科目につき300字程度の紹介文でした

シラバスは1科目ではなく毎時間にわたって
タイトルよりも詳しく授業の内容を述べ
受講生はどんな予習を何分するか
授業のあとどんな復習を何分やるかまで書くのです

もちろんどんな試験を課すか
どういう基準で評価するか
いちいち丁寧に書かなくてはないません

それから授業の終わりには学生の授業評価があって
それはいいのですが
シラバス通りに進行したかという設問が必ずあります

シラバスは学生に提示する契約文書の一種だと言います

こんな風に詳細なのはアメリカの大学には
学外非常勤講師が大変多く
日頃教員との接触がほとんどない環境だからこそ必要とされました

それが常勤教員の方が多くて
学生との接触が多い日本でも導入されました

どう考えてもシラバスというのは
決まった内容を教えるためのものです

文学系の授業は決して教科書的な
決まった内容に限られないものです

受講生の理解度に応じて
あるいは講義の準備をしつつ研究を深化させて
開講当初には思いもよらなかった方向に発展して行くのが
活き活きとして知的興味にあふれた授業になるのです

私は教わった先生たちの授業準備のためのノート作りを
ごく間近で見ながら育ちましたが
授業というのは 授業をしながら成長を続けるものだと感じました

ですからシラバス通りの授業は死んだ授業なんです

特に専門科目の授業では授業が終わったら
そのノートをもとに新しい論文が書けるようになるのです
(半分はそうして論文を書いてきました)

したがって私などの考える良い授業とは
シラバスというものとは縁遠いです

それでも文科省はこのシラバスの出来不出来を
大学への補助金に反映させるというバカなことをやっていますから
大学のためには書かざるを得ません

先ほど三日間かけて来年度のシラバスを書き終えました

この三日間のシラバスを書く時間を
その授業のための原書資料を読む時間に充てるほうが
はるかに充実した授業になるのになぁと
シラバスを書くために書棚から引き出して積んだ文献を
横目で見ながらそう考えています
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Agfa Optima 1535

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by zuoteng_jin | 2017-02-23 18:10 | Agfa Optima 1535 | Comments(0)
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